Ayako Yamashita

東京都在住・ダンサー/振付家 Age35

①この映像を見て想起したことについて自由にお書きください。

無力感、停滞感、揺らぎ、 焦燥、ぶれ、ざらざらした感触と心地よく滑らかな感触が同居している感じ。

②COVID-19以降、あなた自身が「変わってしまった」と感じること、 「取り戻せない感覚」について教えてください。

近距離、対面、マスク無しは非常識となった今、スマホやパソコン画面の中の相手との面会が増えた。話相手の表情は2次元もしくは直接会うなら口無しの顔から読み取るのが普通となった。
人同士のコミュニケーションは今までよりも視覚に頼ることができない状況に追い込まれている。これまでのコミュニケーション能力は一旦抑え込まれた感覚がある。

しかし、腕がない人が足を使って文字が書けるようになる如く、抑え込まれた能力があるおかげで育つ別の感覚があることも一つの事実である。マスクの下の口元は見えないけれど、声色や目の表情を読み取る力は増したように思う。
そして、逆もまたしかりで目元の表情や声色の表現力が向上しているかもしれないと思っている。人に何かを伝える時、マスクの下では滑舌よくいつもより音量を上げて発声しなければならない。拡張される能力が確かにある。

映像の中で下部分に映し出された水面のランダムな揺らぎや人体や果物の表面の微細な感触は、私たちが普段見落としているに違いないまだ名前を持たない感覚と言える。その感覚の扉が私たちに開かれた時、私たちはコロナ禍で新たに獲得した思ってもいなかった能力同様に何かとんでもない能力を獲得してしまうのではないか。

人の感情を浸かった水の揺らぎで皆が表現できるようになる、もしくは水に浸かると勝手に感情が水面に反映されてしまうとか、、。
私たちの大脳のほとんどは使われていないというけれども、ほんの少しの刺激として新たな感覚に出会う機会があればまだまだ人類の進化も夢じゃないのかもしれない。そんなことを考えた。

2020年 8月28日