女性アーティストが創作を続けるための

アーティストコレクティブ

【企画概要】

2021年6月より、伊東歌織は女性アーティストの結婚、妊娠、出産、育児といった経験に関する情報をシェアし、それぞれの創作の糧としていく、「寄合い」としてのアーティストコレクティブの試運転をスタートさせました。

この企画では、複数の独立した女性アーティストが集まり、対話や情報を交換、創作に纏わる実験をしながら、今後の作品のトライアウトを行える場としての機能と、そのプロセスを公開することによって、より若い世代のアーティストに向けた、活動継続のヒントとなる情報を発信する場としての機能を併せ持ちます。

2021年はコロナ禍における創作の継続の可能性を、「個人の“記録”」を手掛かりに探り、それぞれが「作家以前の自分」、あるいは「作品以前の気づき」と向かい合う事から、人と会えない期間、「如何にムリなく、創作を継続できるか?」を検証し、実際に会ってから、それらを元にどのような創作が可能か?を探求していきます。

【企画にあたって】

若い頃の私は「出産と子育てはダンサーのキャリアにとって命取りになる」と本気で信じていました。振り返ってみると、私にとって活動の継続とそれらの問題(妊娠・子育て)の両立は、無意識的な課題として常に付きまとっていたように思います。いつなら産める?どこまで頑張ればいいの?

妊娠・子育てによって業界から消滅してしまったかのように見えたダンサー達が当時何を考え、どのような時間を過ごしてきたのかが公に語られる場は殆どなく、そして今も尚、とても少ないと感じています。

そして私自身が結婚、不妊治療を経て、今年に入っていよいよ「妊娠」という経験をした時に、「継続して活動するための指針」となるものには中々出会えませんでした。

しかし妊婦となった今、身体は動きにくくなったにも関わらず、自分以外の生きものの時間を常に感じることで視野や思考が広がり、自分以外の立場にいる人々に思いを馳せることで、今まで以上にクリエイティブな時期を過ごしていると感じています。まさか、こんな感覚が芽生えると思いもしなかったし、一体私は今まで何に怯えていたのだろう、と改めて考えさせられました。

だからこそ、今できる創作方法を模索し、その指針と創作環境自体を創ることを、小さな取り組みから始めていきたい。そしてそれらの活動を通して、私の身近な世代や若い世代の女性アーティストに将来への希望を繋いで行けたらと思います。

2021年6月 伊東歌織