2020年9月30日 手探りなまま突き進み、気がつくと9月は足早に逃げていった。 あの日、置き忘れてしまったものは一体何だったのか。 ゆっくりと波に揺蕩うように感覚を反芻する。 触れたものの姿かたちを思い出すように。
2020年9月15日 地上の裏側にある音が 背骨を伝って届く 表面からは決して掬い取ることができないもの
2020 年9月9日 浮遊して ただ漂うことが許される場所に 足を踏み入れることは叶わなかった 四角い箱を泳ぐ鱗雲 黒い鳥の鳴き声が 秋の始まりを告げる
2020 年9月7日
台風が過ぎ去っていった家の庭に
甘くて濃い香りが立ち込める
遅れて咲いた、9月のヤマユリ
ぽつんと咲く その白い存在に
揺動する雄蕊に
私の内側は支配された